2013年12月10日火曜日

「 おせち料理 」


うちのおせち料理は、
全く豪勢ではなかった。



お正月、もう昼に近い時間に起きると、
母が「おそよー(おはよー)」と言った。

「お雑煮食べたいでしょ おもちなんこ?」と母が聞く。
「2個」と私は言う。

母がすぐにもちを焼く。


お雑煮を待っている間に、
おせちが運ばれ、段に分かれた重箱を並べてくれる。

うちのおせちは全部母の手作りだった。
買ってくるものは一つもない。
私にはいつものごはんと一緒に見えたけど。



母はそれぞれの意味を超簡単に説明する。

「黒豆は、まめに働くとか、うんそうね
 昆布巻きは、よろこぶとか、数の子は、子宝に恵まれるとか
 田作りとかれんこんとかきんとんとか、(きんぴら…煮物…)
 それぞれ色々意味が込められてるのよ、作るの大変だったんだから〜」




自分が料理をするようになってから、
おせちの用意が大変だということが本当に分かった。
あれだけの種類を、何日も前から仕込むのはとても体力のいること。
きんとんも伊達巻きも昆布巻きも手間がかかる。

子供の頃、田作りの煮干しのはらわたを取る手伝いをした。
隣で兄が、伊達巻きのはんぺんをすりつぶしていた。
松前漬けを姉がつまみ食いしていた。



家族が家を出ていく度に、母は
「もう食べる人も少ないからおせち作んなくていいわよね?」と聞いてきた。
それでも、私が家にいる間は段の少なくなったおせちを作ってくれた。


昔は正月の三が日はお店が閉まっていて、
保存食の意味合いもあったおせち料理だけど
今はどこも開いていて、まるでいつもと変わらない。
おせちを食べない家庭も増えているみたい。


子孫繁栄
豊年豊作
無病息災


クリスマスより身近に感じるお正月。
今年から少しづつ、
おせち料理が作れるようになりたいと思っている。


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