2016年5月28日土曜日

「 泣くと言うより叫んでいた 」


時々ふと思い出している

子供の頃
どうしてあんなに泣いたのだろう
という日のことを


私はまだ小学校に入る前だったと思う
いつから自分に物心がついたのかは覚えていないけど
その記憶は残っている

その日は父と母がどこかのテレビ局で
おもしろ夫婦として出演する日だった
家族六人、父の運転でテレビ局へ向かい
収録中は見学することができた

私たちきょうだいは離れたところから見学が出来たのだけど
父と母が離れてすぐに私は火が付いたように泣きだした
親がいなくて泣くような年齢ではなかったと思うのだけど


覚えていることは
私自身、どうして泣いているのか分からなかったこと
そして父と母が戻るまで私は泣き叫び続けた



帰りの車中で、父が笑った顔で私に言った
「恥ずかしいよ、あんなに泣いて」と
わたしもどうしてあんなに泣いたのか不思議だった
そして恥ずかしくなった


今思い出すことは、
あれは泣いていたのではなく叫んでいたということを
わたしはどうしてか分からないけど
父と母に聞こえるように泣き叫んでいた
周りはみんな迷惑だったに違いない



これまでの人生で泣いた思い出はたくさんある
わたしはたくさん泣いて生きてきた

でも泣き叫んだ記憶はこの一回だけなのではないかと思う


あと何回
こんなに泣き叫ぶことがあるのだろう
こころがどうしようもなくなることが
またあるのだろうか、ないのであろうか

























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2016年5月15日日曜日

「 アサリの砂抜き 」


今日買い物で、
アサリに “旬” というシールが貼ってあったので
いつもより多めにアサリを買った

家に帰り、ウキウキしながら
どんなアサリ料理を作ろうかと考えていた

レシピをネットで検索しているとき
「速攻アサリの砂抜き」というのが目に入った

そこには、
アサリを50℃のお湯に浸すとアサリが熱くて砂を吐く
という内容が書かれていた

ほほうと思い、早速それを試してみた


アサリが一斉に殻から出て来る
面白くてしばらく眺めていると
だんだんとアサリの動きが鈍くなってきた

いやな予感がした ので

急いで水に浸した


すると水中で、
アサリのにゅーんと伸びたくちばし?が
貝から離れてフヨフヨ浮いている…

、、、?

一体アサリたちに何が起こったのか
アサリはピクリとも動かない



どれくらいだろう…
しばらく私はそれを眺めていた
動かないアサリを
触ったり、塩水に入れたりしながら
頭の中でぐるぐるとアサリのことだけを考えていた

いつもより多めに買ったアサリ
それが、いつもより多めに買ってしまったアサリになっていた
どうやってこの動かなくなったアサリを食べようか…




結局アサリはお味噌汁にすることにした

開かない貝は食べない の反対で
貝が開けば食べていいと思った

そしてもし砂抜きが出来ていなかったとしても
ダシは取れると思ったから

気持ちが乱れていたせいもあり
味見をしても味がよく分からなかった




そして うす味のお味噌汁ができた

開かなかったアサリはなかった






アサリがジャリッといった瞬間
母のアサリのお味噌汁を思い出した


「砂がすごい」と言うと

「汁だけ飲んで」と母が言う




あの時の母の気持ちを想いながら
いつもより多めに入ったアサリのお味噌汁を
私は飲み干した



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2016年5月7日土曜日

「 4月 」


気がついたら、4月は一度もブログを更新していなかった。
毎日忙しく終わっていくのに、何にもしていないような気がする。

最近ずっと、こころの持ちようが分からないままで過ごしている。
毎日を、自分の人生だと思っていないのかもしれない。
自分の未来がもう終わったと思っているのかもしれない。

4月でまたひとつ歳をとった。

こんな自分は、ダメな気もするけど、好きな気もしている。



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