2014年6月6日金曜日

「 ワガママになったカメ 」


カメを飼って一年が経った。

一年前は5センチくらいの大きさだったのに、
今はその倍以上で、甲羅も立派に成長した。

飼い始めは人間にビクビクしていたけど、
すぐに懐き、水槽をのぞけば寄ってくるようになった。

水槽は三日に一回洗っている。

新しい水だと気持ちがいいのか、
すぐに大きなウンコをする。



うちのカメは元々暖かい場所で暮らすカメだそうだ。
なので暑さに強く寒さには弱い。
冬眠はしないので一年中エサも食べると聞いていた。


しかし飼いたての、まだ身体の小さかったころ
寒い日はエサを食べなくなり、あまり動かなくもなってしまった。

心配で心配で、毎晩のように夢にカメが出てきた。

ネットで色々調べ、水槽にヒーターを入れることにした。
そしたらエサもよく食べ、よく動くようになった。




私のカメはかわいい。

エサを食べている姿も歩いている姿も、
水槽でひっくり返っているのも寝ている顔も。
洗ったばかりの水槽にウンコをされてもかわいい。



だいぶ大きくなったので、
最近市販のカメのエサ以外に、ハムやちくわをあげていた。
飛びつくように喜んで食べているのが分かる。
美味しそうに食べる姿は見ていて私もうれしくなる。



でも、そうするようになってから
市販のカメのエサを後回しにするようになった。
市販のエサには見向きもしない。

なので、市販のエサを食べてから
美味しいものをあげるようにすることにした。


始めのうちは、
美味しいエサ よこせっ よこせっ とバタバタするけど、
次第にあきらめて、市販のエサを食べていた。



でも、だんだんとカメもその流れが分かってきたのか、
市販のエサを食べているようで食べたフリをするようになった。
このヤロウと思いながらも、こちらもずっとはかまっていられないので
あまり気にしていなかった。


でも最近になって、市販のエサを明らかに食べないで残すようになってしまった。
そして、美味しいエサをくれるまでプイっとするようになったのだ。



その顔は本当にスネている。

「わたし、こんなもの食べたくない ふんっ」と顔が言っている。

話しかけてもそっぽを向く。



私は今まで動物の感情をこういう風に感じたことがなかった。
実家でもカメは飼っていたけど、私が世話をしているわけではなかった。
同じカメでも、自分が飼いたくて飼ったカメは実家のカメとは違った。



このままでは、ワガママなカメになってしまう。
そう思い、美味しいエサをあげないことにした。
ちゃんとまた普通のエサを残さず食べるようになったら
他のものをあげよう。そう心を鬼にすることにした。


美味しいエサをあげなくなって今日で三日目。

市販のエサを相変わらず食べずに残している。


エサの時間になると、
美味しいエサ よこせっ よこせっ といつも以上に暴れる。
日に日に暴れ具合はエスカレートしているように思う。


エサの時間が1時間も2時間も過ぎると、
「どうしてくれないの?」という顔をしている。
この時いちばん胸がぎゅっとする。
ワガママにさせたのは、飼い主のわたしなのに、ごめんねと思う。



スネた顔に「おやすみ」を言い、そして朝に「おはよう」と言う。

その時こころの中で「だいすきだよ」っと言いながら。




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