小さい頃に食べた納豆は、
決しておいしいものではなかったと思う。
納豆巻きや手巻きの納豆は好きだったけど、
朝食の納豆は「身体にいいから」という理由で、
食べさせられてる感があった。
大人になって、一人暮らしを始めた。
そのとき、人間は食う為に生きているんだなと実感した。
家にいるときは母が食事の用意をしてくれた。
一人になって、考えることは、
朝何食べよう。昼何食べよう。夜何食べよう。
食う事ばかり考えている。
待っていても誰も用意してくれないから。
自分一人の為のごはんはどんどん手抜きになっていった。
一人分で作るのは難しいし、あれも食べたい、これも食べたい
と思って材料を買っても結局使い切れずに腐らせてしまう。
仕事が忙しくなると、コンビニ弁当や外食ばかりになってしまった。
ちゃんと食べているつもりだけど、元気が出ない。
外食ばかりしていると、無性に納豆が食べたくなった。
炊きたてのごはんで食べる納豆。
からしをきかせてネギを入れて食べる納豆。
無性に食べたくなったときに食べる納豆は、
子供の頃いやいや食べていた納豆とは思えないうまさだった。
そして、元気が出る。
“納豆は身体にいいのよ” の意味を、
本当に知ったのはその時だったのだと思う。
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