2012年10月6日土曜日

「 自動販売機 」



さっき、自動販売機で水を買った。



 うちは、お小遣い制度のない家だった。
 必要なものは買うから言いなさい。
 と小学生から中学生にかけて言われていた。

 しかし、必要なものはたいしてなかった。
 えんぴつも消しゴムも家のそこら中に転がっていたし
 兄姉が多いので、たいていお下がりで間に合ってしまう。

 学校から帰ると、おやつはいつも仏壇に並んでいて
 何人と遊ぼうが友達みんな分持っていっていいと言われた。



 必要でないもの、要するに無駄使いはできなかった。


 わたしにとって、自動販売機はあこがれだった。
 お金を入れて、好きな飲み物が選べて、
 ボタンを押すとごろんと音をたてて飲み物が出てくる。

 喉が渇いたら水道の水を飲めばいいと言われ育てられたので、
 自販機で飲み物が買えるチャンスはなかなかなかった。




 そういう経験があったためか、
 最近わりとなんでもないとき(そこまで喉が渇いていないとき)に
 自販機で飲み物を買うと、贅沢をしている気持ちになっている自分に気がついた。

 スーパーやコンビニで飲み物を買ってもなんとも思わないのに、
 わたしにとって自販機は特別な存在になっていた。

 仕事で疲れた帰りは、
 なんとなく自販機で飲み物を買っちゃったりしている。





 お金を入れて、好きな飲み物が選べて、
 ボタンを押すとごろんと音をたてて飲み物が出てくる。



 初めて自販機が置かれた当初は
 みんなにとってあこがれの存在だったんでしょうね。




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