2015年4月8日水曜日

「 姉が作ってくれたカレー 」


私が中学生の時のこと
母は長刀(なぎなた)を習っていた

ある日、母は長刀の練習中に
アキレス腱を切ってしまいそのまま入院となった


母の数日間の入院中
浪人中だった一番上の姉がごはんを作ってくれた
お菓子作りは得意な姉だったが
ごはんを作っている姿はそれまで見たことがなかった

姉はカレーを作ってくれた
妙に姉のカレーが嬉しかったのを覚えている


白い炊きたてのごはんにカレーをよそうと
カレーがご飯の中にスルスル消えていった
それはそれはサラサラのカレーだった
食べてみると味も薄い

わたしは姉にケチをつけた

たぶん、「味がうすいんだけど!」とか「サラサラじゃん!」
などと言ったのだと思う

姉はぶすっとして自分の部屋へ行ってしまった







母は私たちがごはんを作ってあげると
必ずといって「人に作ってもらうごはんは美味しいわ〜」
と言い、美味しそうに食べて喜んだ



その気持ちが今なら分かる
そしてその言葉の意味も


毎日自分でごはんを作っていると美味しさに驚きはない
食べる前から何度も味見をし、どんな味か分かっているから


母のその言葉の裏には、
作ってくれた人への感謝の気持ちも込もっていた




時間をかけてくれてありがとう

美味しく作ろうとしてくれてありがとう





あの時姉にケチをつけた私の行いは0点だ


今は、お世辞じゃなくて
100点満点のごちそうさまを言える

やっと料理に込められた気持ちも
味わうことが出来るようになったので






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