「 パワーとお線香とハガキ 」
子供の頃
みんなの前で何かを発表するときや
話をするときは、母にお願いをした
「おかあさん、パワーちょうだい」と
朝、母は「パワーおくるからね」
と言って見送ってくれた
社会人になって
仕事がうまく行かなかった時期
私は毎朝、仏様にお線香をあげてから家を出た
その後一人暮らしを始め家を出てからは
何か仕事で大事な事がある日には
朝、実家に電話をして
自分の変わりにお線香をあげてもらっていた
最近、そういうものから
とても離れている気がした
見えないパワーや神様がとても遠くに感じる
これは、大人になったということなのだろうか
今日、母からハガキが届いた
きいろときみどりのレモンの絵の切手が貼ってあった
ハガキを見えるところに置き、
私は何度も手にとって母の文字を読み返していた
昔のように、
パワーを送ってとかお線香をあげてなどと
言葉にすることはなくなったけど
私は未だに
親離れができていないのかもしれない
きいろときみどりのレモンは少しだけ重なっている
ハガキを手帳に仕舞い
今日は神様にお礼をして寝ようと思った
「きょうもいちにちありがとうございました」と
* * * * *
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